「役員報酬を下げると生活に影響が出る。でも税金と社会保険料が重すぎる」

中小企業の社長であれば、一度はこのジレンマを感じたことがあるのではないでしょうか。
実は、役員報酬の額面を変えずに、所得税・社会保険料・法人税を同時に減らせる方法があります。
それが「企業型DC(企業型確定拠出年金)」の活用です。このページでは、仕組みと具体的な節税効果を数字で解説します。
なぜ役員報酬の節税は難しいのか
役員報酬には、給与所得者向けの節税手段がほとんど使えません。
- 経費として落とせるものが限られる
- 報酬を下げると手取りが減る
- 法人から個人に渡す時点で所得税・社会保険料がかかる
そのため「稼げば稼ぐほど税負担が重くなる」という構造になりやすく、月100万円の役員報酬でも実質的な手取りは60〜65万円台というケースも珍しくありません。
この問題を根本から解決できるのが、企業型DCです。
企業型DCで「役員報酬の壁」を突破できる理由
企業型DCの掛金は、役員報酬とはみなされません。
つまり、会社が社長のために毎月掛金を拠出しても、それは「給与の支払い」ではなく「年金制度への拠出」として扱われます。その結果、以下の3つの節税効果が同時に発生します。
| 節税の種類 | 仕組み |
|---|---|
| 法人税の軽減 | 掛金は全額損金算入。会社の利益が減り、法人税が下がる |
| 所得税・住民税の軽減 | 掛金は役員の課税所得に含まれない。所得税・住民税の対象外 |
| 社会保険料への影響 | 掛金は標準報酬月額の算定対象外。役員報酬と切り離して扱われる |
役員報酬の額面は変えない。でも、その一部を「課税されない形」で受け取る仕組みを作れる。これが企業型DCの本質です。
具体的な節税効果:試算してみる
役員報酬が月100万円(年1,200万円)の社長が、企業型DCの上限額(月5.5万円)を拠出した場合の試算です。
① 法人税の軽減
| 内容 | |
|---|---|
| 年間掛金 | 5.5万円 × 12ヶ月 = 66万円 |
| 法人税の実効税率(目安) | 約33% |
| 年間節税額 | 66万円 × 33% = 約21.8万円 |
② 役員個人の税負担軽減(選択制DCを活用した場合)
さらに節税効果を高めたい場合は「選択制DC」を組み合わせます。選択制DCでは、役員報酬の一部をDC掛金として積み立てることで、その分が課税対象から外れます。
| 選択制DCなし | 選択制DCあり(月5.5万円) | |
|---|---|---|
| 課税対象の役員報酬(月) | 100万円 | 94.5万円 |
| 所得税・住民税の軽減(年) | - | 約25〜30万円(税率43%換算) |
法人税の軽減(約21.8万円)と合わせると、年間で約45〜50万円の節税になる計算です。
これを30年間続けると、節税額の累計は1,350〜1,500万円規模になります。しかも、その資産は老後に受け取れます。
💡 ポイント:「役員報酬を変えずに」とは?
通常の企業型DC(会社が掛金を出す方式)であれば、役員報酬の額面は一切変わりません。掛金は会社の経費として別途拠出されます。選択制DCの場合は額面は変わりますが、手取りは実質的に増えます。



実際に支援した建設会社の2代目社長さんで、こんな場面がありました。シミュレーションをお見せした瞬間、「これ、ずっと損してたってこと?」とぽつりとおっしゃったんです。役員報酬月110万円で、年間の節税効果が約52万円。10年で換算すると520万円という数字が出たときの表情は、今でも忘れられないですね。知っているかどうかだけで、これだけ変わる。だからこそ、一人でも多くの経営者に届けたいと思っています。
小規模企業共済との違い・組み合わせ方
社長の節税手段として「小規模企業共済」を使っている方も多いです。企業型DCとの違いを整理します。
| 項目 | 企業型DC | 小規模企業共済 |
|---|---|---|
| 月の上限額 | 5.5万円 | 7万円 |
| 従業員も使えるか | ✅ 使える | ❌ 経営者のみ |
| 掛金の扱い | 法人の損金 | 個人の所得控除 |
| 運用 | 自分で運用商品を選択 | 固定利率(運用なし) |
| 途中解約 | 原則不可(60歳まで) | 可(元本割れリスクあり) |
両方を併用することも可能です。小規模企業共済(月7万円)+企業型DC(月5.5万円)を合わせると、毎月最大12.5万円(年150万円)を節税しながら積み立てられます。
導入前に知っておくべき注意点
① 選択制DCに役員を含めるかは規約次第
選択制DCを導入する際、役員を加入対象に含めるかどうかは規約の設計によって変わります。導入時に専門家に確認することをおすすめします。
② 標準報酬月額が上限に達している場合
役員報酬が高く、すでに社会保険の標準報酬月額が上限(135万円)に達している場合、選択制DCを使っても社会保険料の軽減効果が出ないことがあります。
③ 掛金は原則60歳まで引き出せない
積み立てた資産は老後の受取が前提です。短期的な資金需要には対応できません。
④ 導入まで6〜8ヶ月かかる
規約の作成・届け出が必要です。「今期の節税に使いたい」という場合は早めの相談が重要です。



「役員は対象外でしょ?」と思っている方がとても多いんですよね。でも実際は、厚生年金の被保険者であれば役員も加入できます。一人社長の会社でも導入している事例は珍しくありません。もう一つよく聞かれるのは「選択制DCにすると役員報酬を下げることになるんじゃ?」という誤解です。額面の見た目は変わりますが、手取りは実質的に増える設計になっていますので、そこはご安心ください。「知らなかった」で損し続けるのがいちばんもったいないと思っています。
「企業型DCのお金は守られる」という安心感も節税以外のメリット
節税効果に目が向きがちですが、企業型DCには資産保全という重要なメリットもあります。
積み立てた資産は、運営管理機関(金融機関)の個人口座で管理されます。会社が倒産・解散しても、DC口座の資産は会社の財産と切り離されており、役員・従業員の個人資産として保全されます。
従来の退職金は会社内部に留保するため、経営状況が悪化すれば支払いが滞るリスクがあります。企業型DCはこのリスクがない点で、役員にとっても「確実に積み上がる」仕組みです。
「節税しながら、確実に老後資産が増えていく」。これが、企業型DCが経営者に選ばれる理由のひとつです。
こんな社長に特に向いています
- ✅ 役員報酬が月80万円以上で、所得税・社会保険料の負担を感じている
- ✅ 法人税をもっと下げたいが、合法的な手段が限られている
- ✅ 小規模企業共済はすでに加入済みで、さらに節税したい
- ✅ 老後の資産形成を、節税しながら効率よく進めたい
- ✅ 従業員への福利厚生も同時に整備したい
まとめ
| 節税の種類 | 年間効果(月5.5万円拠出・役員報酬月100万円の場合) |
|---|---|
| 法人税の軽減 | 約21.8万円 |
| 所得税・住民税の軽減(選択制DC) | 約25〜30万円 |
| 合計 | 約45〜50万円/年 |
役員報酬の額面は変えない。でも、毎年45〜50万円が手元に残る形に変わる。これが企業型DC活用の本質です。
「自分の会社では使えるか」「いくら節税できるか」は、会社の状況によって変わります。まずは専門家に相談することをおすすめします。



【お問い合わせはお気軽にどうぞ】
「自分の会社でも使えるか、一度確認してみたい」という方は、お気軽にご相談ください。試算だけでも、数字が出るとずいぶん見え方が変わります。「今すぐ導入する」という前提でなくても大丈夫です。まず現状を整理したいという段階でも、お役に立てることがあると思います。K.I.パートナーズでは、役員報酬・節税・老後資産をまとめて考える個別相談を承っています。
※本記事は執筆時点の法令・制度情報に基づいて記載しています。企業型確定拠出年金・小規模企業共済に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。企業型確定拠出年金に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。





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