「選択制401kって、普通の企業型DCと何が違うんですか?」

企業型DCに興味を持った経営者の方が、次に必ずぶつかる疑問です。選択制401kは「導入しやすくて、社長も従業員も節税できる」という点で注目されている仕組みです。この記事では、仕組みと節税効果を中小企業経営者向けにわかりやすく解説します。
選択制401kとは何か
選択制401kとは、従業員が「給与として受け取るか」「DCの掛金として積み立てるか」を自分で選べる企業型DCのことです。正式には「選択制企業型確定拠出年金」と呼ばれます。
通常の企業型DCは会社が掛金を上乗せして出しますが、選択制401kは元々の給与の一部をDCに振り替える仕組みです。会社の持ち出しを最小限に抑えながら導入できる点が、中小企業に広まっている理由のひとつです。
通常の企業型DCとの違い
| 比較項目 | 通常の企業型DC | 選択制401k |
|---|---|---|
| 掛金の出どころ | 会社が上乗せして拠出 | 給与の一部をDCに振り替え |
| 会社のコスト | 掛金分だけ増える | 社会保険料が下がるため実質コストが減ることも |
| 従業員の選択 | 選択の余地なし(全員一律) | 給与受取 or DC積立を個人で選べる |
| 節税の仕組み | 会社の損金のみ | 会社の損金+個人の社会保険料削減 |
| 導入のしやすさ | やや高コスト | コストを抑えて導入しやすい |
選択制401kの節税効果:3つのポイント
① 個人の社会保険料が下がる
給与の一部をDCに振り替えると、その分だけ「標準報酬月額」が下がります。社会保険料は標準報酬月額をベースに計算されるため、DC掛金分の社会保険料(健康保険・厚生年金)がかからなくなります。
| ケース | 給与 | DC掛金 | 標準報酬月額の変化 |
|---|---|---|---|
| 導入前 | 月50万円 | − | 50万円ベースで計算 |
| 導入後 | 月45万円 | 月5万円 | 45万円ベースで計算 |
標準報酬月額が下がった分、社会保険料の負担(個人・会社の両方)が軽減されます。
② 所得税・住民税が下がる
DC掛金に振り替えた金額は「給与所得」として課税されません。その結果、所得税・住民税の計算ベースが下がり、手取りを維持しながら税負担が減ります。
③ 会社の社会保険料負担も下がる
社会保険料は会社と従業員が折半で負担します。従業員の標準報酬月額が下がると、会社側の社会保険料負担も同時に下がります。掛金を上乗せしているにもかかわらず、トータルの人件費コストが変わらない・または下がるケースがあります。
節税効果の試算例
月給50万円の従業員が、月5万円をDCに振り替えた場合の試算です(目安)。
| 項目 | 導入前 | 導入後(月5万円振替) |
|---|---|---|
| 給与(課税対象) | 50万円 | 45万円 |
| 社会保険料(個人負担) | 約7.5万円 | 約6.75万円(▲0.75万円) |
| 所得税・住民税(目安) | 高め | 課税所得が下がり軽減 |
| 手取りの変化 | − | 社保削減分で実質の減少を抑制 |
| DC残高の積立 | 0円 | 毎月5万円(年60万円) |
給与が5万円下がっても、社会保険料や税金の軽減分があるため、手取りへの影響は5万円より小さくなります。その差額分が実質的に「老後資金として積み立てられている」状態です。
選択制401kのデメリット・注意点
① 将来の年金受給額が下がる可能性がある
標準報酬月額が下がると、将来の厚生年金受給額も下がります。現役時代の節税と老後の年金のバランスを考慮する必要があります。
② 60歳まで引き出せない
DC口座に積み立てた資産は、原則60歳まで引き出せません。流動性が必要な方には向かない場合があります。
③ 運用リスクがある
DCの運用は自分で選んだ投資信託等で行います。元本保証の商品を選ぶこともできますが、運用結果によって受取額が変わります。
④ 傷病手当金・失業給付の計算ベースが変わる
標準報酬月額を下げることで、傷病手当金や育児休業給付などの計算ベースも下がります。導入前に従業員への説明と理解が必要です。



選択制401kの説明会で、一番よく出る質問が「給料が下がるってこと?」なんですよね。まずそこを正確に伝えることが大事で、「給与として受け取る分が減るけど、税金や社会保険料も下がるから、手取りへの影響は思ったより小さい」という話をするんです。数字で見せると、「あ、そういうことか」と表情が変わる方が多い。ただ、将来の年金が下がる点は正直に伝えます。そこは隠してはいけない。全部わかった上で選んでもらう、それが大事だと思っています。
中小企業が選択制401kを検討すべき理由
- ✅ 会社の持ち出しを最小限に、福利厚生を整備できる
- ✅ 従業員が「自分で選べる」制度は定着・採用に効く
- ✅ 社長自身も対象になり、個人の節税も同時に進む
- ✅ 通常の企業型DCより導入コストを抑えやすい
従業員への説明で押さえるべきポイント
選択制401kは従業員が自分で参加を決める制度です。説明会で必ず伝えるべき4点があります。
- 手取りへの影響を数字で示す:「給与が下がる」という誤解が最も多い。実際のシミュレーションを個別に見せることが重要
- 60歳まで引き出せないことを明確に:急な支出には使えない。生活防衛資金は別で確保が必要
- 将来の厚生年金が下がることも正直に伝える:標準報酬月額の低下は厚生年金受給額にも影響する。隠すと後でトラブルになる
- 元本確保型の商品があることを伝える:投資が苦手な方でも、元本確保型を選べば運用リスクを避けられる
参加するかどうかを選ぶ期間(1〜2ヶ月)を設けることで、従業員の自主的な判断を促せます。説明会後に個別相談の機会を作ると、参加率が上がることが多いです。
導入後によくある変化
- 参加した従業員から「手取りが思ったより減らなかった」という声が出る(社保・税金削減で相殺されるため)
- 採用面接で「退職金制度はありますか?」に「確定拠出年金制度があります」と答えられるようになる
- 従業員が自分の資産形成に関心を持ち、将来設計の話が社内でしやすくなる
節税効果に加えて、このような「職場の雰囲気」への波及効果も、長期的には大きな意味を持ちます。
まとめ
- 選択制401kは、給与の一部をDCに振り替える仕組みの企業型DC
- 個人の社会保険料・所得税・住民税が下がる3重の節税効果がある
- 会社側の社会保険料負担も下がるため、トータルのコストが変わらないケースもある
- デメリットは「将来の年金減少」「60歳まで引き出せない」「傷病給付計算ベースの変化」
- 中小企業が低コストで福利厚生を整備する選択肢として有力
選択制401kは「節税」と「従業員への還元」を同時に実現できる制度です。ただし、設計と従業員説明が重要なため、専門家と一緒に進めることをおすすめします。



【お問い合わせはお気軽にどうぞ】
「選択制401kがうちの会社に合うか確認したい」「従業員への説明方法も含めてサポートしてほしい」という方は、まずお気軽にご連絡ください。導入の可否の確認から、従業員説明会のサポートまで一緒に進めます。K.I.パートナーズでは、税理士・社労士の先生とも連携しながら、中小企業の実情に合った設計をサポートしています。
※本記事は執筆時点の法令・制度情報に基づいて記載しています。企業型確定拠出年金・小規模企業共済に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。企業型確定拠出年金・選択制401kに関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。


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