「企業型DC、いつから受け取れるんですか?」

導入を検討する経営者から必ずと言っていいほど出る質問です。DCは積み立てるだけでなく、「いつ・どうやって受け取るか」によって手取り額が変わります。この記事では受取時期と受取方法の選択肢を整理します。
DCはいつから受け取れるか
企業型DCの受取開始年齢は、原則60歳から75歳の間で自分が選べます。2022年の法改正で、受取開始の上限年齢が70歳から75歳に延長されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受取開始の下限 | 60歳(ただし通算加入期間が10年以上の場合) |
| 受取開始の上限 | 75歳(2022年改正。以前は70歳) |
| 受取の義務 | 75歳までに受け取りを開始しなければならない |
加入期間が10年未満の場合
通算加入期間が短い場合、受取開始可能年齢が繰り下がります。
| 通算加入期間 | 受取開始可能年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳から |
| 8年以上10年未満 | 61歳から |
| 6年以上8年未満 | 62歳から |
| 4年以上6年未満 | 63歳から |
| 2年以上4年未満 | 64歳から |
| 1ヶ月以上2年未満 | 65歳から |
導入年齢が遅かった場合や、転職などで加入期間が短い場合は、60歳より後になることがあります。
受取方法の3つの選択肢
① 一時金(退職所得)
積み立てた資産を一括で受け取る方法です。退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。退職所得控除は勤続年数(加入期間)が長いほど大きくなるため、税負担が大幅に軽くなる可能性があります。
- 退職所得控除 = 20年以下:40万円×年数、20年超:800万円+70万円×(年数−20年)
- 控除後の金額の1/2だけが課税対象(2分の1課税)
② 年金(雑所得)
積み立てた資産を分割して毎月または毎年受け取る方法です。公的年金等の雑所得として扱われ、公的年金等控除が適用されます。受取期間は5年・10年・20年などから選べます(運営機関による)。
- 他の収入と合算して所得税・住民税が計算される
- 長生きリスクに対応しやすい
③ 一時金+年金の組み合わせ
一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る方法です。運営管理機関によって対応が異なります。一時金の退職所得控除と年金の公的年金等控除を両方活用できるため、税負担を最適化しやすいとされています。
一時金と年金、どちらが有利か
「一時金」と「年金」のどちらが有利かは、受取時点の収入・税率によって変わります。判断の目安を整理します。
| 状況 | 有利になりやすい受取方法 |
|---|---|
| 退職後に他の収入がほとんどない | 年金(公的年金等控除を活用) |
| 退職時に収入が多い・退職金もある | 時期をずらして一時金(退職所得控除を活用) |
| 加入期間が長く積立額が大きい | 一時金(退職所得控除が大きくなる) |
| 長生きリスクへの備えを重視する | 年金(定期的な収入として受け取れる) |
一時金と年金の組み合わせが最も柔軟ですが、運営管理機関によって対応が異なります。受取方法の選択肢を導入前に確認しておくことをおすすめします。
65歳まで拠出した場合の受取タイミング
定年60歳の会社で65歳まで拠出を続けた場合、受取時期は以下のように選べます。
| 受取タイミング | 特徴 |
|---|---|
| 60歳で退職と同時 | 退職金と同年受取になる可能性あり(税負担に注意) |
| 65歳で拠出終了後すぐ | 積立を最大化してから受取。退職金と時期をずらせる |
| 70〜75歳まで運用を続けてから | さらに運用期間を延ばして受取を最大化 |
退職金との受取タイミングの重なりは税負担に大きく影響します。詳しくは別記事「退職金とDCを同時に受け取ると損する?」で解説しています。



「いつ受け取れるか」より「いつ受け取るのが得か」という話が、経営者の方には刺さるんですよね。早く受け取りたい気持ちはわかるんですが、退職金との受取時期が重なると控除が食い合うことがある。「60歳で退職金も出て、DCも一緒に受け取ろう」と思っていたら、税負担がずいぶん変わってしまった、というケースがあります。設計の段階でここを考えておくことが大事で、だからこそ導入前に受取のシミュレーションも一緒にやるようにしています。
まとめ
- DCの受取開始は60歳〜75歳の間で自分が選べる
- 受取方法は一時金・年金・組み合わせの3パターン
- 一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が適用される
- 65歳まで拠出した場合、受取時期を退職金とずらす設計が節税に有効
- 加入期間が短い場合、60歳より後からしか受け取れないケースがある
受取方法と時期の選択は、退職金・公的年金・その他収入との兼ね合いで最適解が変わります。導入設計の段階から「出口」を見据えた相談を、専門家と一緒に進めることをおすすめします。



【お問い合わせはお気軽にどうぞ】
「DCの受取時期をどう設計すればいいか確認したい」「退職金との兼ね合いをシミュレーションしてほしい」という方は、まずお気軽にご連絡ください。導入前の設計段階から、受取時期の最適化まで一緒に考えます。K.I.パートナーズでは、税理士の先生とも連携しながらサポートしています。
※本記事は執筆時点の法令・制度情報に基づいて記載しています。企業型確定拠出年金・小規模企業共済に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。企業型確定拠出年金に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。



コメント