企業型DCとは?

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは?

企業型DCとは、会社が毎月掛金を拠出し、従業員が自分で運用しながら老後資金を積み立てる制度です。将来の受取額は運用結果によって変わります(確定拠出)。

従来の「退職金」が「会社が支払うもの」だったのに対し、企業型DCは個人の口座で資産が管理されるため、会社が倒産しても資産は守られます。

項目 企業型DC 従来の退職金 iDeCo
掛金を出すのは 会社(+従業員も可) 会社 従業員本人
資産の管理 個人口座で保全 会社の内部留保 個人口座で保全
運用 加入者が選択 会社が運用 加入者が選択
税制優遇 拠出・運用・受取の3段階 退職所得控除のみ 拠出・運用・受取の3段階
転職時 資産を持ち運べる 会社に権利が残る 継続加入可能

社長・会社・従業員、3者のメリット

企業型DCの最大の特長は、一つの制度で社長・会社・従業員の全員がメリットを受けられる点です。

① 会社・社長のメリット

メリット 内容
掛金が全額損金 毎月の掛金は全額損金算入。法人税を毎月削減できる
社長の所得税・社保も軽減 掛金は役員報酬とみなされない。所得税・住民税・社会保険料の課税対象外
運用リスクがない 掛金を拠出するだけ。積立不足のリスクを会社が負わない
採用・定着力の強化 退職金制度の代替として福利厚生の充実をアピールできる

② 従業員のメリット

メリット 内容
掛金が非課税 掛金は所得税・住民税の課税対象外。手取りを減らさずに老後資金が積み立てられる
運用益が非課税 通常は約20%課税される運用益が、DC内では非課税で再投資される
社会保険料の軽減(選択制の場合) 給与の一部をDC掛金に切り替えると、課税対象給与が下がり社会保険料も軽減される
資産が守られる 会社が倒産しても、個人口座の資産は保全される
転職時に持ち運べる 転職先の企業型DCやiDeCoへ資産を移換できる(ポータビリティ)

税制優遇は「3段階すべて」に適用される

企業型DCの強みは、資産形成のすべてのフェーズで税金が優遇される点です。

フェーズ 優遇内容
拠出時 事業主掛金:全額損金算入 / 加入者掛金:全額所得控除
運用時 運用益は非課税(通常は約20%課税)
受取時 年金受取:公的年金等控除 / 一時金受取:退職所得控除

30年間積み立てて一時金で受け取った場合、最大1,500万円まで非課税で受け取れます(他の退職金との合算条件あり)。


選択制DCとは?節税効果がさらに高まる仕組み

通常の企業型DCは会社が掛金を出しますが、「選択制DC」では従業員が給与の一部をDC掛金として積み立てるか、現金で受け取るかを選べます

DC掛金を選んだ場合、その分は給与として課税されないため、所得税・住民税・社会保険料がすべて軽減されます。

【試算例】月給35万円の従業員が月2万円を選択制DCに積み立てた場合

選択制DCなし 選択制DCあり
課税対象給与 35万円 33万円
年間節税効果(本人) 約7〜12万円
年間節税効果(会社) 約3〜6万円

つまり、従業員の手取りが増えて、会社のコストも下がる構造です。


デメリット・注意点

メリットが大きい一方、導入前に知っておくべき点があります。

  • 原則60歳まで引き出せない:老後資金が目的のため、急な資金需要には対応できません
  • 運用リスクがある:運用結果により将来の受取額が変動します(元本確保型の商品を選ぶことも可能)
  • 導入まで3〜6ヶ月かかる:規約の作成・届け出が必要です。早めの検討が重要です
  • 従業員への投資教育が必要:会社は加入者に対して継続的な投資教育を実施する努力義務があります

こんな会社に特に向いています

  • ✅ 退職金制度がない、または廃止を検討している
  • ✅ 採用・従業員定着に課題を感じている
  • ✅ 社長の役員報酬が高く、所得税・社会保険料の負担が重い
  • ✅ 法人税を合法的に下げたい
  • ✅ 中退共・小規模企業共済からの移行・追加を検討している

現場エピソード

「ある会社では、企業型DCの導入が採用の決め手になりました。前職でも加入していた応募者が、そのまま運用を継続できる点を高く評価し、入社を決めたのです。また別の会社では、20〜30代の社員から特に好評で、長期的な定着にも貢献しています。」


よくある質問

Q. 社員が少なくても導入できますか?

A. はい。社員1名(経営者のみ)でも導入できます。規模に関係なく活用できる制度です。

Q. 既存の退職金制度と併用できますか?

A. できます。ただし掛金の上限額が変わります。既存制度との整合性を確認した上で設計することをおすすめします。

Q. 導入にどのくらいの費用がかかりますか?

A. 導入時の申請や社員向けの説明会実施などの費用がかかります。選択制DCを採用した場合、社会保険料の削減効果でコストを相殺できるケースもあります。

Q. iDeCoと何が違いますか?

A. iDeCoは個人が自分で掛金を出す制度です。企業型DCは会社が掛金を出すため、会社の損金算入ができる点が大きな違いです。また、iDeCoより掛金上限が高い場合があります。

Q. 従業員が転職したらどうなりますか?

A. 積み立てた資産は転職先の企業型DC、またはiDeCoへ持ち運べます(ポータビリティ)。会社に残る従来の退職金と異なり、個人の資産として保全されます。


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企業型DCは、会社の規模や状況に合わせた柔軟な設計が可能です。「うちの会社に合うのかな?」という段階でも構いません。K.I.パートナーズでは、導入の是非も含めてフラットにお話しできる場をご用意しています。


※本ページは執筆時点(2026年5月)の法令・制度情報に基づいて記載しています。企業型確定拠出年金に関する制度は法改正により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または専門家にご確認ください。